小麦のしねまちゃんぷるー

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2008年2月5日(火) おすすめ3本

アン・リー監督の「ラスト・コーション」、ウォン・カーウァイ監督の「マイ・ブルーベリーナイツ」、トッド・ヘインズ監督の「アイム・ノット・ゼア」

先週末から立て続けに、ものすごい映画を3本観てしまった。
映画、かくあるべし、という、自由なイマジネーションと、流麗なキャメラワーク、鮮やかな色彩。
合間に観た何本かは、今となってはまったく印象に残っていない。
スジすら覚えていません。
すまんのお。
「歓喜の歌」「母べぇ」「アメリカン・ギャングスター」「ジェシー・ジェームズの暗殺」……。

3本についてはのちほどじっくりと。
とにかく、観た人と語り合いたくなる。そして、2回、3回と観たくなる、そんな映画です。

2008年2月19日(火) 2月前半に観た映画

「マイ・ブルーベリー・ナイツ」★★★★
ウォン・カーウァイ、久々の大ヒット(と思う)。小難しい理屈なしの、王道ラブストーリーだからこそ、カメラワークに思う存分酔っぱらえる。
「母べぇ」★★
娘たちが母親に批判的な視座を持たないのは、おかしいですよ。私が志田未来の立場だったら、エッチなおじさんに反抗するのと同じくらい、父の不在に若い男を家に入れているだらしない母親は嫌いになると思う。周囲からそう観られていることも、絶対に耳に入るはず。山田洋次の描く女は、いつも男の想像上の女。
「歓喜の歌」★★★
ウエルメード。気持ちよく笑え、気持ちよく終わったが、一晩たつとあまり印象に残っていない。
「アメリカン・ギャングスター」★★★
デンゼル・ワシントンのラストの変わり身の早さに、あぜん、呆然。リドリー・スコットっていつも詰めが甘い、と思う。
「ラスト、コーション」★★★★★
別項に譲る。
「アイム・ノット・ゼア」★★★★★
ボブ・ディランの人格を6つに分け、6人が演じるというアイデアの勝利。特に、ケイト・ブランシェットが秀逸。
「ペネロピ」★★★
フェミ映画の王道。ガールズ! 自分で自分を肯定できれば、王子様なんかもう待たなくてもいいのよ。
「ジプシー・キャラバン」★★★★
 ロマって、こんなにも多様なんだ。知らなかったことを知る楽しみ、喜びに溢れたドキュメンタリー。民族音楽の記録映画としても、素直に楽しめる。
「胡同の理髪師」★★★★
 観ている間、自分もひげをあたってもらっているかのように気持ちよかった。でも、「スウィーニー・トッド」の印象が強く残っているせいか、かみそりが頸動脈にかかると、血がブシューッと吹き出る幻影が……。映画の終盤、御年90の主人公は2度ほど死にかけて、でも、死なない。中国の歴史同様、どうあっても「続く」という含みが感じられて、面白かった。
「チーム・バチスタの栄光」★★★★
 中村義洋のアツくならない演出が、ミステリーの素材とマッチして光っている。
 映画が原作に付け加えたソフトボールのエピソードも、私のツボには入りました。よきかな。
「L〜チェンジ・ザ・ワールド」★
 ラスト、飛行機が離陸しないところが、致命的にダメだなあ。スピンオフ作品の宿命とはいうものの、全体として楽屋落ちが目立ち、映画としてのダイナミズムにかける。ゾンビ化した佐藤めぐみ(A子)の怪演が印象深し。
「フィクサー」★★
 主人公と敵対する女性弁護士の描き方がひどい。自意識過剰で実力がないバカ女。ライバルが弱いから、物語がしまらない。ティルダ・スゥイントンもよくこんな役を受けたなあ。良心の呵責に堪えかねた弁護士が、調停の場で素っ裸になって逃走した、というエピソードを、電話のやりとりだけで表現しているのも、ちょっと。こういうのこそ、絵で見せないとさあ。なぜ、これがアカデミー候補作なのか、疑問。
「家族の誕生」★★★★
 血のつながりなんて、なくても、家族。韓国映画は日本映画よりも早いスピードで「血族」を解体し、「家族」を再統合していく。弟が連れてきた嫁が、どうみても20歳以上年上で、さほど美しくもなく、でも一つ屋根の下で毎晩ヤリまくっている。そのあえぎ声を聞きながら、過ごす姉(ムン・ソリねーさん!)。そのうち、いわゆる「ダメ男」の弟よりも、母親ほど年の離れたその妻との間に、「家族」としての情愛を感じるようになる。さらに、血のつながりのない娘までひきとっちゃう。この信じられないような過程がまったく無理なく描かれている。家族のエロスもタナトスも、「人のセックスを笑うな」なんかより、数倍すごいですよ。新鋭キム・テヨン監督の細やかな演出力、観るべし。
「ひまわり」★★★
 ムショから出た男が、暴力を封じ込めて生きるものの、やがて、大切な人を殺されて、復讐に走る……東映ヤクザ映画は、韓国で生き残っていたのです。主演のキム・レウォン、ボロボロになりながらのハイキックには、血が騒ぎました。役者もスタッフも、ものすごく高倉健のイメージを踏襲してます。

2008年2月21日(木) 「実録・連合赤軍」のことなど

ある人の日記にこんなコメントを書きました。

 「実録・連合赤軍」はねー、映画としてのクオリティは決して高くないんだと思う。むしろメタ構造を駆使した「光の雨」の方が映画としては上。
 永田洋子の描き方も、目から鱗の新解釈ではなかった。(大塚英志の「彼女たちの連合赤軍」に蒙を啓かれた今とあっては、若松監督の視点はいかにも男性が寄りかかりそうな「女の嫉妬」説で、あまり新鮮に感じない)。
 当事者に近い人が描くって、視点を固定しちゃいますよね。「これが真実だ!」という感じで、解釈の揺れが入り込むすきまがない。それって、映画にとっては致命的な欠陥だと思うんです。力作だとは思う。でも、私は評価しません。

 重信房子にはなれない(素養も力量もない)私は、運動家としても、女としても、市民としても中途半端な自分の立ち位置を、どうしても遠山美枝子に重ねてしまう。だから、この映画はつらい。いっそ、永田洋子のように、確固たる信念を自分の中に構築できれば、まだいいんだけど、遠山は半端だ。半端だから粛清された。それがわかるから、イタイ。
 大塚が前掲書に書いていた通り、連合赤軍事件の背景にあるのは、森の女性の身体性への無理解と怖れなのではないか、と思う。じゃないと、妊婦や新生児への対応の稚拙さ(一見、残忍に見えるが、単に稚拙なだけである)が説明できない。それを永田の嫉妬説で塗り固めた当時の警察、司直に関わる人間は、全部男であったことを、忘れてはいけない。

 重信房子や永田洋子が監督した「実録・連合赤軍」を観てみたい、とふと、思う。

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